札幌ビジネス読書会は課題本を読んでから参加するという本格的な読書会です。一冊の本をきっかけとして、楽しく有意義な時間を共有するのが、この読書会のコンセプトです。初めての方でも気軽に参加して、読書好きの方々が交流できる会です。
今回の課題本は次の一冊でした。
『夜と霧 新版』 ヴィクトール・E・フランクル 著
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【本書の目次】
心理学者、強制収容所を体験する
第一段階 収容
第二段階 収容所生活
第三段階 収容所から解放されて
この本は、強制収容所という極限状態で著者が体験したことをまとめた一冊です。
著者は1905年オーストリアのウィーン生まれのユダヤ人です。第二次世界大戦中、ドイツによって強制収容所に送られます。
ユダヤ人というだけですべてを奪われ、家族とも散り散りになり、不衛生でせまい部屋に大人数で押し込められ、満足な食事も衣服も与えられず、やがてはガス室に送られて殺される、それが強制収容所です。
ナチス・ドイツによる強制収容所で一体なにが行われたのか、その狂気と恐ろしさを知ることのできるドキュメンタリーとしても秀逸な本ですが、この本が世界的な名著として長く読まれてきたのはそれだけの理由ではありません。
著者はフロイトやアドラーといった心理学者から精神医学を学んだ精神分析学者です。著者は、単に自分の悲惨な体験を公開するだけでなく、精神分析学者として心理学の立場から強制収容所で過した人たちの心理を分析しようと試みます。
『(中略)人は強制収容所に人間をぶちこんですべてを奪うことができるが、たったひとつ、あたえられた環境でいかにふるまうかという、人間としての最後の自由だけは奪えない、』
本書110ページ 精神の自由 より抜粋
戦後70年が経って豊かになった現代の日本。しかし、毎年3万人もの自殺者がいて、うつ病などの精神疾患が5大成人病の一つとなっている日本。
人間が存在することの意義とはなにか?
平和で豊かな現代日本を生きる私達にとっても、この本は少しも色あせていません。必読の一冊です。
これまで600万以上の人々に読まれてきたこの本を課題本として読み、読書会で語り合うことによって、生きる意味を深く考えることができたのではないかと思います。
参加者の皆さん、ありがとうございました!