第28回札幌ビジネス読書会を開催しました(2014.5.31)

まだ5月ですが、札幌地方は30度近い暑さです。青い空が広がり、近所の小学校からは運動会の歓声が聞こえてきます。

そんな土曜日の午後、今回で28回目となる札幌ビジネス読書会を開催しました。

この読書会は課題本を読んでから参加するという、硬派な読書会です。

今回の課題本はこちらです。

■今回の課題本

『堕落論』
坂口安吾 著
角川文庫

第二次大戦直後の混迷した社会に、戦前戦中の倫理観を明確に否定して新しい指標を示した「堕落論」は、当時の若者たちの絶大な支持を得た。
「人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。」
堕ちきることにより真の自分を発見して救われるという安吾流の考え方は、いつの世でも受け入れられるにちがいない。

角川文庫 表表紙のあらすじより抜粋

さて、今の時代において安吾の思想はどのように理解されるべきなのでしょうか。今回の読書会には男性4名(そのうち初参加1名)の方々が参加してくれました。

まずは主催者からのアイスブレイクです。
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各参加者がウォーミングアップとして3分ほど自己紹介を行います。

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読書会を楽しくて有意義な時間にするためには、お互いのことを知ることが大事です。そのためには、傾聴と呼ばれるスキルが求められます。簡単に言うと、話している人に興味を持って、心から話を聞くということです。

自己紹介のあとは、課題本の読み返しを行います。そして、各自が感じたことをアウトプットしてシェアしていきます。その内容を主催者のほうでまとめていきます。
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課題本の中でわからなかった部分や難しかったところなど、参加者が自主的に資料を持ち込んでくれるので、議論も深まっていきます。

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タブレットを活用して発言する20代のS君です。

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全員のアウトプットがまとまりました。これから後半戦です。

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読書会の後半は、本から学びたいキーワードや質問をブレーン・ストーミング形式でまとめていきます。ブレーン・ストーミング(略してブレスト)は、次の3つのルールに沿って、議論やアイデアを深めていくファシリテーションの手法の一つです。参加者からの発言をマインドマップというノート術で整理していきます。
・ブレストの3つのルール
1.アイデアを数多くだす
2.人のアイデアや発言を批判しない
3.アイデアをつなげていく

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議論が深まるにつれて、マインドマップも広がっていきます。同じ本を読んでも、人によって捉え方が違うことに気付いていきます。これが読書会の最大の特長です。

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マインドマップを見ながら、どんどん発言が生まれてきます。楽しいけれど真剣、そんな感じです。

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主催者のファシリテーションも熱をおびてきます。

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最終的には、ここまで広がりました。

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読みやすいようで奥の深いのが安吾の文章の特長ですが、各参加者から、「この本を一言でまとめてみると?」という質問に答えてもらいました。

Sさん:常にゼロリセット
Hさん:「A=C]はそもそも違う
Hさん:正直さ
Sさん:堕落とは健全であるが健全ではない

今の時代に坂口安吾がいたとしたら、果たしてどんな本を書くのでしょうか。

 終戦後、我々はあらゆる自由を許されたが、人はあらゆる自由を許されたとき、みずからの不可解な限定とその不自由さに気づくであろう。人間は永遠に自由ではあり得ない。なぜなら人間は生きており、また死なねばならず、そして人間は考えるからだ。政治上の改革は一日にして行われるが、人間の変化はそうは行かない。遠くギリシャに発見され確立の一歩を踏み出した人性が、今日、どれほどの変化を示しているであろうか。

『堕落論』(角川文庫) 101ページより抜粋

ちなみに、私がこの本を一言で表すと、「本質」という言葉になります。これからも読み続けるであろう一冊です。

参加者の皆さん、どうも有難うございました!!

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参加者の方々から感想をもらっていますので、こちらに公開します。

【林慎一さん】
・今回の読書会ではどんな気づきがありましたか?
ジェネレーションギャップや、2元論で判断する辛さをまのあたりにした。
その一方でしっかりした優秀な若者も居て、良い刺激になった。

・読書会のいいところって、なにかありますか?
ワインの世界では垂直飲みと水平飲みというのがあります。
垂直とはあるシャトーを年代ごとに飲んでいくこと。
これは、結構一般的な飲み方のようで、好きな銘柄の変化を楽しめます。
水平とは、ある年代の色々なシャトーを飲んでいくこと。
一般的ではないのですが、その時代を感じるのが目的と言われ、
新しい好みを見つけることもよくあります。
また、ソムリエが幅広い知識を得るために必要とされます。
会社のような組織は垂直飲み、読書会は水平飲みのようなものに感じます。
新たな発見、新たな視点で、その背景を楽しむことが
読書会の良い所です、なんてのはかっこよすぎでしょうか?

・その他メッセージをご自由にどうぞ!
昨日列車のような居酒屋で飲んだとき、スルーしてしまったけれど、
数こなすのには大賛成です。
宇山さんの味は数こなして研がれるものだと思う。
Sさんのような変革が起きた人が10人、20人と増えたとき
なんか凄い化学変化が起きる気がします。
協力は惜しまないので行くだけ行ってみましょう。

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